「あなたはまだ〈音〉に出逢っていない」
いきなりそういわれた。
プロのジャズピアニストであるJ.K先生のピアノのレッスンの初回。
音に・・・・出会っていない・・・かあ。
すごいことをおっしゃるなあ
「音に出逢った人は聴けばわかるから。」
なんだろう、いろいろと気になる、突き刺さる。
音に出逢うってどういうことだろう・・・
その日からそのことが課題となった。
お宅は一枚板のテーブルがあり、たくさんのサンキャッチャーがぶら下がり
大きなガラス窓からたくさんの木々が見えた。
一瞬ここは東京なのだろうか?と思った。
そしてこだわりの無農薬のコーヒー豆を、先生自ら焙煎したコーヒーを
淹れてくださった。
先生は信州の山の近くでかやぶき屋根の古民家を借りて、自給自足の生活を送っていた時期があり、北アルプスの山に向かって毎日即興のようにピアノを弾いていたという。
その時に、小鳥の声を聴きながらこう誓ったのだとか。
「公害になる音は出すものか」と。
それから、自分の出している音がどんな音なのか、
研究に研究を重ねて
ゼロになる弾き方を完成させたのだそう。
その辺の秘儀はここでは書けません・・・
「自分が」がない音・・・
その後インドへの瞑想修行などを経て、ジャズで
今、先生の音は
ジャズピアノの枠を超えて、
音色で涙が流れる音なのだった。
そのほかにもいろいろな話題が、私にとっては
本当にワクワクして
2時間のレッスン時間の大半を使ってしまうほどだった。
しかし、コードを習いに来ている私は
「グランドピアノで練習しなさい」ということと
「コード進行のイロハ」を課題に出され
自宅から少し離れた鶴間という町のピアノのレンタルルームで
グランドピアノの部屋を2時間とか借りて、コードの練習したり
インスピアノを弾いたりしていた。
ピアノの仕組みを知り、弦楽器であるということを初めて知った。
響きを感じながら、弾く訓練はすごくよかったと思う。
そして音をレコーダーに録音して、聴きかえしたり、
動画を作ってみて、YouTubeにあげたりということをしていたのもこのころから。
「音に出逢う」を知りたくて
でもよくわからないで、先生の言葉を一生懸命思い返したりしながら
このころは家にピアノもないのに
近所の喫茶店で弾かせてもらったり、ジョンレノンのメモリアルイベントで
弾かせてもらったり、いろいろと弾く機会を
作ろうと頑張っていた。